エンターテイメントの担い手という気概の話

個人的によく見るサイトといえば@niftyの「デイリーポータル Z」「住宅都市整理公団」なんですが、「住宅都市整理公団」の管理人である大山顕さんは、デイリーポータルの人気ライターでもあったりします。


(akinichi)

「住宅都市整理公団」は確か、2002年頃から見ていますが、「団地」をマジメに語る視点やレーダーチャートなどのナンセンスぶりがツボに入り、また、“総裁”を務める大山さんの「カモだより」が何とも面白く、私はそれからずっと総裁のファンだったわけです。

まあ、早い話が今の「団地ブーム」や「工場ブーム」は、「住宅都市整理公団」と大山さんがデイリーポータルで執筆している“街の鑑賞ネタ”が火付け役になっているといっても過言ではないわけです。

そんな大山さんについて興味深い記事を見つけました。

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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第13回 「住宅都市整理公団」に見る、オタク的ではない趣味の愛で方(ASCII.jp トレンド)

私が大山さんが書いた記事が面白いと思うのは、意外さというか「こう来たか」という読者の期待の外し方(いい意味での)の見事さなんですね。

例えば、デイリーポータルのバックナンバーで「浮かれ電飾を鑑賞する」というのがあるんですが、クリスマスの電飾を「浮かれ具合」で鑑賞しようという切り口が面白い。

あと、言葉遊び的な「ナンセンスな感じ」「シュールな感じ」が醸し出すなんともいえない世界がたまらないですね。

つまりこれは、上記ASCIIの記事でも触れているんですがエンターテイメントなんですね。バカバカしさをマジメに追求している姿勢もそうですし、綿密に計算されたコンテンツ作りもそうです。

・足でサンプル収集するフィールドワークである
・写真のクオリティが高い
・表現したい切り口が明確である
・他にはないアイデアがある
・評価軸がある

例えば、「街にある、言われてみれば面白い形のもの」を表現しようというアイデアがあったとしても、ちゃんと面白さが伝わるような写真や気の利いた文章が書けなければ、アイデアは読み手に伝わらないでしょう。

大山さんは記事の中で、「自分は団地には詳しくないしマニアではない」と公言していますが、「アイデアを面白く伝える」点にこだわり切るという意味では間違いなく「マニア」ですね。

*
これ、コンテンツを作る立場で、私も共感できる部分なんですね。

何だかんだとIT系の企画に携わる機会が多いですが、ITの世界は横文字の用語が多いし、堅苦しくて何のことか分からない。そもそも機能には興味が持てない。

それをどうやって面白く伝えられるか。

これはやっぱりエンターテイメントなんですよ。さすがにクライアントからお金をいただいて制作する企画では、あんまり羽目は外せないですが、やっぱりテーマが堅苦しくて難解であればあるほど、たとえ「薄っぺらい」と言われようが「笑ってもらう」ところから入るということにこだわりたい。

もちろん、作ったコンテンツの評価はあくまで見ていただいた人が決めることではありますけど。

なんだか勇気が湧いてきましたね。

自分も「エンターテイメントの担い手である」という気概を持ってコンテンツ制作の仕事に取り組みたいと思いを新たにしました。

*
記事によると、大山さんが今は勤めていた会社を辞め、フリーで活躍されているようです。ますますのご活躍を期待しています。

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ライター兼プランナー。IT系の企画に携わること多数。個人的な研究テーマは「ビジネスマンと野球用語(あるいは麻雀用語)の関係」「ビジネス風水2.0」など。

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